研究内容

 

[研究概要]

 

現在,世界的な環境保護対策の1つであるCO2等の温室効果ガスの排出量を規定した京都議定書(COP3) 2005216日に発効した。その結果,日本は1990年の排出量を基準として6%の削減目標が法的拘束力を持って,2008年〜2012年の期間に課せられることになった。

CO2の発生は主に化石燃料を燃やすことによるが,日本におけるCO2の排出量を部門別にみると,自動車などの運輸部門が全体の22%と大きな割合を占めている。このことから低公害車の開発が急がれ,その一環としてモータとエンジンを連動させたハイブリッドカーが実用化され,静かで燃費がよいということから普及しつつある。しかしこれは次世代の低公害車として実用化が期待されている,燃料電池で動作する電気自動車へ移行する際の過渡的な駆動方式と思われる。現在のところ,燃料電池はコストや小型化の面で難点があるが,低公害でエネルギー効率が高く,高出力が得られるメリットがある。

本研究室では,最小限のエネルギーで人間をある場所からある場所へ移動させることを目的として,車体を軽量化した種々の小形電気自動車を提案している。この小形電気自動車には,駆動エネルギー電源としてバッテリーの代わりに水素吸蔵合金に貯蔵した水素で動作する,小容量の固体高分子形燃料電池(PEFC)を搭載する方式を採用している。

 

[研究テーマ]

 

1. 燃料電池を搭載した小形電気自動車の開発 

少ないエネルギーで1人の人間を移動させることを目的とし,車体を軽量化して小容量な燃料

電池を搭載した小形電気自動車を開発している。主な仕様は,モータ:ブラシレスDCモータ 24V, 200W,電源:PEFC形燃料電池 24V, 200W, 0.03MPa,水素貯蔵方式:水素吸蔵合金 500L, 1.5MPa, ボディー:重量18kgのカーボンモノコック製の前輪2輪,後輪(駆動輪)1輪 となっている。

これから燃料電池単体において,水素の圧力に対する発電特性,周囲温度に対する発電特性, 酸素の供給量に対応する発電特性,次に総合特性において,走行速度特性,走行距離特性,走行時の消費電力特性 の測定から,省エネルギーで走行できる条件を見積り,小形電気自動車を開発する。

 

2. 燃料電池の並列運転法の開発

 現在のところ,燃料電池の出力に対する選択の幅が相当制約されている。このことから,燃料電池を複数並列運転して,必要とする発電量を得る技術を開発する。このことは,負荷の状態をモニターして必要とする発電量になるように,燃料電池の運転する個数やその水素の圧力などを制御して行う。

 

3. 燃料電池を用いた教材の開発

 環境問題に関心が集まるなか燃料電池が注目され,最近種々の分野に急速に応用されつつある。しかしながら教育現場においては,まだ身近な教材とはいえない。地球環境という観点から地球の将来を担う子供の早い時期に,燃料電池に接することが必要と思われる。そのため小学生にもわかりやすく燃料電池が理解できるような教材(実験セット)を開発する。

 

    電気自動車,燃料電池,自然エネルギーの利用をキーワードに,特にものづくりの好きな学生      

大歓迎です。