水環境システム工学研究室


 広大な水田や畑に貯えられた水は,下流の農地や都市で再利用されたり,ゆっくりと地下水を潤したりして,その利用を支えます.しかし,自然は優しいばかりではありません.時には洪水,干ばつで我々を脅かします.また,乾燥地の開発や砂漠緑化には水は不可欠です.
水を活かすとは自然のメカニズムを熟知し,上手に利用することなのです.そのための施設や管理に関わる技術が私たちの研究テ−マです.


水利環境システム班

黒田正治 教授 (農学博士)

 人々のより豊かな生活空間を維持,向上していくために生活用水,農業用水, 工業用水は欠くことのできないものです.各地域に水を供給するために,水路,堰, 水門などの構造物があります.私達は,水路,堰,水門に発生する水の流れについて研究をしています.

水利システムのレイアウト
農地や地域の各所に水を運ぶためには
様々な施設が必要です.これらを合わせて
水利システムと呼びます.
水利システムのレイアウト
非ライニング水路の流れに関する研究
写真は実験用水路で,砂を充填して
水の流れによる河川の浸食の研究を
しているところです.
非ライニング水路の流れに関する研究



圃場かんがいシステム班

竹内真一 助教授(農学博士)

   穀物・野菜あるいは果物など農作物の栽培には,適当な気象条件と土および水の存在は欠かせません.太古より,人類は主に河川から水を移動させることにより,食料生産活動を行ってきました.しかし,河川水の利用は適切さを欠くと,中央アジアのアラル海周辺のような砂漠化の問題を引き起こします.従って,水を巧みに利用し,地球環境の保全を図りながら,永続的な食料生産を推しすすめなければなりません.私達は,農作物の生育が好適なように土の中の水分や塩分をコントロ−ルするかんがい技術を,研究対象の中心としています.  

ピ−マンの灌漑実験(ガラス室)
ハウスには砂が充填されており,イスラエルで
開発された点滴灌漑を用いた節水栽培を
検討しています.作物や土壌の水分状態を
測定する計測器群も備えています.
ピ−マンの灌漑実験
作物蒸散量に基づく自動灌漑システム
本研究室が開発した農作物に自動で水を与える
システムです.作物が根から吸い込んだ水量を
計測し,この値をもとに水を与える効率的な方法です.
作物蒸散量に基づく自動灌漑システム