ファラデー効果を使って,光学的に直流電流・磁界を測定する際の光量変動を補正する手法として,測定系の途中で高周波磁界を重畳させる方法を考案し,長時間安定に,有効に光量変動を補正できることを検証している。また1kHzまでの脈動分を有する直流電流を計測できることも検証している。光ファイバをセンサとする方式の研究も進めている。
U.直流電圧・電界の光学計測法の研究
Bi12SiO20結晶(BSO結晶)やBi4Ge3O12結晶(BGO結晶)などのポッケルス効果を利用して,光学的に直流電圧・電界を測定する方法を研究している。自然旋光性を有するBSO結晶を二つ組み合わせて使い,特に電界方向を逆にして電圧を加えると,ポッケルス効果による最大の変調率が得られることを明らかにした。また,BSO結晶に光を照射するとポッケルス効果による変調率が増大する現象があることを見い出し,その原因を定量的に解明すべく取り組んでいる。
V.誘電液体の高電圧電気伝導現象の解明
都市環境によく調和する不燃・難燃性変圧器の開発のため,不燃性のパーフロロカーボン液,難燃性の低粘度シリコーン油,および環境を汚さない植物油などの電気伝導特性を調べ,電極間電流の時間特性,体積抵抗率の温度依存性や電圧依存性,電圧印加時や極性反転時の電流測定の初期に現れる電流極大現象,および絶縁破壊強度などについて明らかにしている。
W.高気圧SF6ガス絶縁の高電圧放電現象の解明
SF6ガス中での雷インパルス部分放電電荷量を測定する手法を確立し,交流電圧ではMS/SPAC部分放電スペクトル診断装置を用いて部分放電を測定できる技術を確立した。SF6ガス絶縁変圧器の絶縁設計のために,巻線を模擬した円筒対平板電極で,電極を絶縁フィルムで被覆したときに生ずるくさび状ギャップのSF6ガス中での雷インパルス部分放電現象,および交流部分放電現象などを明らかにしている。
X.新しい電気エネルギーの開発と応用に関する研究
熱電発電素子,高分子電解質膜燃料電池,有機太陽光発電,マイクロガスタービンなどの新しい発電システムを組み合わせた新しい電気エネルギーシステムの開発を進めている。