シニョーリア広場周辺
ダヴィデという作品を作るのに1501年〜1504年をかけて、石から吟味し、彫って作られた。注文主はフィレンツェ政府。彫刻の手順は、美術の資料集にある石彫の手順とは違う。まず大まかに全体を彫ってから細部を彫っていくことはせず、いきなり最も前面に突き出ている部分から細かく彫って作られた。
「ダヴィデ」は旧約聖書のキャラクターで、巨人ゴリアテに対し、手に隠し持っていた石を投石器で投げて倒したイスラエルの少年ダヴィデ。この像は共和国フィレンツェの象徴として、政庁の前に設置された。ところが、人々の評判が悪かったそうだ。素っ裸だからだろうか?
写真でみると、ダヴィデ像の「頭が大きいなあ」という印象だった。アカデミア美術館で、この4.3メートルの彫刻作品の実物を見た。真横から見るのでなく、下から上を仰ぎつつ見ると、最高のバランスのとれた肉体が現れる。つまり、ダヴィデ像を下のほうから見ていくと、足はすべすべしていて、ちょうど腹のあたりから筋肉、骨格がはっきり見えてくる、そして最後に頭の部分にいたっては、顔、そして髪の毛にいたるまで非常に細かに表現されている。頭は思考の源で、またすべての行動もこの頭によりコントロールされていることを表現しているのがわかる。顔のなかでも特に静かに遠くの一点を見つめているような目元、しわを寄せた額には、目で見たことを頭で思考している集中力が伝わってくる。
この彫刻に限らず、美術品は実物を見ないとわからないことが多いだろうね。